いざ中学受験。
ところで学校にはどんな種類があるのでしょうか。その特徴について考えてみましょう。
男子校について
首都圏における男子校の数は50校弱、女子校が100校ちょっとですのでかなり少なく感じます。共学校が150校近くありますのでそれを足しても首都圏で男子生徒が通える私立中学は200校程度ということになります。
首都圏で男子校の御三家といえば、開成中学校、麻布中学校、武蔵中学校と言われています。一時武蔵中学校が低迷し、新御三家として開成中学校、麻布中学校、駒場東邦中学校などと言われていましたが武蔵中学校も復活傾向です。さすがに御三家と呼ばれるだけあって東大への合格実績も高く、入学試験も超難関です。
近年では中学受験熱の高まりのせいか、御三家のみならず私立中学全体のレベルアップも目につきます。御三家までとはいかなくとも難関校を受験する男子生徒の数は増加傾向にあり、学校の絶対数が少ないことを考えると男子生徒には厳しい状況といえそうです。
伝統校は、本人の自主性のまかせ、放任主義を取る学校もある男子校ですが、今は、ある程度細やかな指導を行う学校が一般的になってきています。
異性の目が気になる共学校に比べ気楽で楽しいという体験談も多い男子校。勉強にもスポーツにもしっかりと取り組んでいる学校が多いのも魅力の一つでしょう。
女子校について
首都圏における女子校の数は100校強、共学校が増えてきたとはいえ、女子校は、男子校の倍以上あります。共学校への進学も可能なことを考えると男子に比べると女子の方が私立中学進学への選択肢は多いと言えます。
男子校同様、女子校にも超難関校が存在し、桜蔭中学校、女子学院中学校、雙葉中学校などが御三家と呼ばれています。
男子校と比べると学校数が多いために生徒の募集にあたって苦労している学校もあり、英語教育に力を入れて、国際的な活躍ができる女性の育成を目指す等、特色のある教育方針を打ち出して他校との差別化を図っている学校が多く存在します。
また、創立者が女性という学校も多く、ミッション系の学校も多くみられるのが女子校の特徴です。
共学校について
首都圏私立中学のうち共学校は150校近く。最近では元は男子校や女子校だったところが共学校へと変わるケースが多くみられるようになってきました。
男子校から共学化した学校の例
早稲田実業学校
2002年から共学化
日本大学中学校・高等学校
2002年から共学化
明治大学付属明治高等学校・中学校
2008年から共学化
法政大学中学校・高等学校
2007年法政大学第一中学校・高等学校から法政大学中学校・高等学校に校名を変更、共学化。
女子校から共学化した学校の例
開智日本橋学園
2015年に日本橋女学館中学校から開智日本橋学園中学校に校名を変更し、中学校から共学化
かえつ有明
2006年に嘉悦女子中学校・高等学校から、かえつ有明中学校・高等学校へ校名を変更し、共学化
東京都市大学等々力
2009年に東横学園中学校・高等学校から東京都市大学等々力中学校・高等学校へ校名を変更し、2010年4月より男女共学の「共学部」を発足。2015年度から全学年が共学化。
広尾学園
2007年に順心女子中学校・高等学校から広尾学園中学校・高等学校に校名を変更し共学化。
宝仙学園共学部理数インター
2007年に女子校である宝仙学園中学校・高等学校に共学部として「理数インター」が設置された。従来の女子校は、女子部として存在する部分共学校。
三田国際学園
2015年戸板中学校・戸板女子高等学校から三田国際学園中学校・三田国際学園高等学校へ校名を変更し共学化。
筑波大学付属駒場中学や東京学芸大学付属中学など、国立の中学校には共学校が多いです。お茶の水女子大附属中学校(通称お茶大)のように中学校までは共学校で高校になると女子校になる学校もあります。
別学校について
学校自体は共学校であるが、男子と女子ではカリキュラムが別の学校が別学校です。校舎が男女別に分かれていて授業は別々に行われるけれども、食堂のような共通のスペースは共用している場合もあります。
男子校と女子校のように異性を気にせず授業を受けられることや、共学校に比べ男女間のほどほどの距離感が特色といえるでしょう。
進学校と付属校
入学する生徒は、ほぼ難易度が高い大学進学を目標としている進学校は、大学入試に向けた独自の教育カリキュラムを組んでいます。中高一貫教育のメリットを生かし、高校2年生までに中高6年分の全課程を修了し、高校3年時は受験勉強に専念するのが一般的です。
その点、併設大学を持つ付属校は、併設大学への進学が有利となっているため、勉強面で進学校ほどの厳しさはないところが多いです。クラブ活動などに参加する時間がある程度取りやすいのは、付属校のメリットと言えるでしょう。最近は、大学入試制度の変更等に振り回されずに済むことから付属校人気が高まる傾向にあります。
付属校の併設大学への進学状況は、学校によって状況が大きく異なります。慶應義塾大学付属各校のようにほぼ全員が併設大学へ進学できるところもありますが、一般的には、高校在学中の成績によって推薦を貰えるかどうかが決まります。日本大学や東海大学の各付属校のように付属校のみの統一試験を受け、その結果によって進学が決まるところもあります。また、付属校とはいえ併設大学以外の大学への進学に力を入れている学校も増えてきました。
主な進学校
- 麻布中学校
- 開成
- 武蔵
- 桐朋
- 女子学院
- 駒場東邦
- 渋谷教育学園渋谷
- 海城
- 芝
ほぼ全員進学できる付属校
- 慶応義塾高等学校(2017年度:慶應義塾大学への進学678名/卒業生数689名、推薦進学率98.4%)
- 慶応義塾湘南藤沢
- 早稲田大高等学院(2017年度:早稲田大学への進学482名/卒業生数486名、推薦進学率99.2%)
- 早稲田実業(2017年度:早稲田大学への進学408名(推薦407名、受験1名)/卒業生数417名、推薦進学率97.6%)
完全中高一貫校
中学での募集はあるものの高校では生徒の募集がない学校は、完全中高一貫型と呼ばれ、中高6年間においてより効率的に学習指導が出来るように独自の学習カリキュラムを持つ学校が多いです。学習指導の他、情操教育等、人間育成面においても一貫した指導が行われます。
完全中高一貫校の例
完全中高一貫制の男子校
- 麻布中学校
- 海城中学校
- 駒場東邦中学校
- 武蔵中学校
- 早稲田中学校
- 浅野中学校
- 栄光学園中学校
- 聖光学院中学校・高等学校
完全中高一貫制の女子校
- 桜蔭中学校
- 鷗友学園女子中学校
- 吉祥女子中学校
- 頌栄女子学院中学校
- 女子学院中学校
- 雙葉中学校
- 立教女学院中学校
- 洗足学園中学校
完全中高一貫制の共学校
- 渋谷教育学園渋谷中学校
- 青山学院横浜英和中学校
- 慶應義塾中等部
- 慶應義塾湘南藤沢中等部(SFC)
内部進学
完全中高一貫校が高校で生徒募集をしないのと同様に中学でも募集をせず、併設の小学校からの内部進学のみとする学校もあります。
例:田園調布雙葉中学校、聖心女子学院中等科(若干名の転入・編入は有り)
私立中学の安全対策
2001年6月8日に大阪教育大学教育学部附属池田小学校に出刃包丁を持った男が侵入し、児童や教員23名を殺傷した事件は『学校は安全』という既存の価値観に大きな衝撃を与える事件でした。
池田小学校の事故以降も学校内における事件はなくなってはおらず、学校における防災対策、安全対策についての意識も学校選びのひとつのポイントとも考えられます。これに対し、各私立中学は生徒の安全を守るため、それぞれに対策を講じています。
主な対策としては
・警備会社と契約し校内を警備員が巡回
・校門に警備員が配置され、来校者を管理
・録画機能がついた監視カメラ、防犯カメラを校内及び校門に設置
・防犯、非常ベル等、警報装置の設置
・110番通報システムの導入
・来校者の名札(ネームタグ)付けの徹底
などがあげられますが、学内において安全委員会を設立し、安全施策を検討し、教職員に対する防犯研修や、安全マニュアルの作成、生徒に対する防犯ブザーの貸与などの実施を行っている学校もあります。
志望校を選ぶ際、学校説明会に出かけた際などには、その学校の安全面への配慮の方法について確認しておきましょう。
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